居合道とは

居合道の概要

居合道は古来、伝承されてきた居合(抜刀術)を通じて、精神修養を行う武道です。
実際には、日本刀を用いて形(一連の攻防の動作)を行いますが、その出来栄えはその人の習熟度はもちろん、精神的な落ち着きに大きく左右されます。
大勢が見守るような場面では自然と緊張感が高まるものですが、そのような場面でも気負うことなく日頃の実力を出し切れるよう日々修練を行うことで、何人にも侵しづらい品格を身に着けることができます。
居合道を修行することで得られる効果のうち、主要なものは以下の5つが挙げられます。

・身体を強健にし、動作が敏速活発になる。
・姿勢が正しくなり、態度が落ち着いて風格を備える。
・礼儀礼節が身につく。
・積極性、勇気、自省心、忍耐力などが養われる。
・判断力、決断力が身につく。

 

業(わざ)と演武

居合道の業は形であり、刀を納めた状態から、抜刀し、相手に勝ち、刀を納め終わり残心を示すまでを1つの業としています。業には1人で行うものと2人で行うもの(組太刀)がありますが、ほとんどの場合1人で行うものを指します。
演武は様々な場面で業を披露することを差し、1回の演武で業を5本または7本行います。演武を行う前後には、神座及び刀に礼を示す礼法を行います。

 

段位及び称号

全日本剣道連盟の地方代表団体(各都道府県剣道連盟)に加盟している団体では、全日本剣道連盟が発行する段位を授受することになります。ただし、一級以下(段外と呼ばれます)は各都道府県剣道連盟が発行する級位を授受します。
段位の仕組みは剣道と同様で、初段から八段まで存在します。また、各段位には最低修行年数が定められており、これも剣道と同様です。
称号は高段者にのみ受審資格(注)があり「錬士」「教士」「範士」の3つが存在します。
範士が最高位の称号であり、教士八段にのみ受審資格が与えられています。

注:正確には受審資格と受審条件が存在し称号により異なります

 

大会と試合

居合道の大会は全国各地で行われており、各大会には遠方からも多数の参加者があります。
各都道府県大会や全日本居合道大会(各都道府県選抜)を除き、参加制限はないため様々な大会で自分の実力を確認できます。それぞれの大会では、段位別に試合が行われます。
居合道の試合は2人で対戦を行います。審判員は3人で審判を行い、試合者の演武の優劣を判定します。審判員はそれぞれ、赤・白の旗を持っており、演武終了後、より優れている方の旗を挙げます。3人の審判員のうち2本の旗が挙がった方が勝者となります。
近年では、大会参加者の増加から3人で対戦を行う場合もあります。

【居合道大会の例】
・大阪居合道大会(大阪市)
・北九州居合道大会(北九州市)
・大和郡山お城祭り居合道大会(奈良県大和郡山市)
・全国居合道高知大会(高知県南国市)
・東北日本居合道大会(新潟県三条市)
・香川居合道大会(香川県香川市)
・全日本居合道大会(全国各所)

 

古流(夢想神伝流)

現在の居合道では、全日本剣道連盟が制定した「全日本剣道連盟居合(全剣連居合)」と各流派独自の業(わざ)である古流を併修します。小野睦会では、夢想神伝流を稽古しています。
夢想神伝流は昭和を代表する武道家である中山博道が伝えた居合であり、夢想神伝流という流派名は、中山博道の死後、門下の人々が命名したものです。夢想神伝流は、無双直伝英信流に中山博道が独自の工夫を加えたものとされています。
業は段階に応じて3つに分かれており、業の数は初伝(大森流)12本、中伝(長谷川英信流)10本)、奥伝(重信流)21本となっています。

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